11月12日、紫波町情報交流館で、在宅看取りをテーマとした映画「うちげでいきたい」の上映会を主催しました。東北地方では初上映となりました。県内外から、20~70代の様々な背景を持った参加者が34名集まり、多様性に富んだ会となりました。
映画のあらすじは、がんと告知された主人公が、手術を選択せず、訪問診療を受けながら、住み慣れた自宅で残された時間を過ごし最期を迎えるまでの、主人公とその家族の物語です。
上映後、映画を監督した孫大輔氏とオンラインで会場の参加者を交えて対話しました。
「うちげでいきたい」とは、「自宅」で「生きたい・逝きたい」をかけた方言であることを教えてくれました。
映画の舞台となっている鳥取県大山町に、孫氏は大山町を実際に訪れ、自宅で当人を看取った家族や診療所の聞き取り調査を行ったそうです。
少子高齢化・8050問題・老老介護などの社会課題が著しい大山町において、在宅看取りについて自然と話し合える文化を醸成したいという、医師でもある孫監督の想いが込められていました。
ファシリテータを務めた坪谷理事いわく、これらの課題はここ岩手でも同様である。
会場の参加者は自分事として映画を鑑賞していました。参加者の声と監督や司会との対話を概要ながら一部紹介しますと、
(参加者1)在宅看取りというタブー視されがちなテーマを、映画は軽やかなタッチで描いている。自宅で家族を看取った経験者としては、死の不安や家族の苦悩も描いてほしかった
―(孫監督)たしかに、実際の在宅看取りはきれいごとだけではない。しかし、このようなテーマだからこそ、昔から娯楽として親しまれてきた映画という手法を用いて、まずは在宅医療や自宅看取りについて考えるきっかけをつくりたかった。
(参加者2)ひとはどのように死を迎えるのかが知りたい。そうしてはじめて、最期の過ごし方について考えられる
―人が死に至るパターンは、一般的に大きく分けて3つ存在する:がん、肺炎・心不全、老衰によるパターン(みんらぼYouTubeで解説予定)
(参加者3)いざ自宅で最期を迎えたいと思っても、どこに相談したらよいか分からない
―(孫監督)地域によって医療事情が異なる。まずは地域包括支援センターに相談するとよい。
人はいつか必ず最期を迎えます。そうした意味で、できるだけ多くの方々に、映画を観て人生の最期について考えるきっかけにしてもらいたいという願いから、この上映会では、車いす観客席を用意し、手話通訳も準備しました。おかげさまで、いろんな方に映画を観てもらうことができました。
11月30日は「いいみとり」の日です。人生の最期について自然と話し合える文化が根付くことを願っています。