9月15日終日、岩手県作業療法士会主催で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3士合同による人生会議・みんらぼカード体験会を開催しました。
リハビリ職にとって、人生会議はあまり馴染みがないかもしれません。しかし、リハビリ職こそ、利用者・患者に人生会議を勧めていただきたいと考えます。その理由は2つあります。
まず、リハビリ職の方々はリハビリテーションを行う中で、自然と利用者・患者と接する時間が長くなり、その過程で信頼関係が深まります。そうして、利用者・患者本人の生き甲斐や大切にしていること、さらには医師には話しづらいことも、リハビリ職の方々には語られることが多いと感じます。
次に、リハビリテーションの定義そのものが、人生会議の理念に通じています。すなわち、
「リハビリテーション」とは障害のある人の「全人間的復権」,すなわち,障害(生活機能低下)のために,人間らしく生きることが困難になった人の,「人間らしく生きる権利の回復」である───上田敏(日本障害者リハビリテーション協会顧問/元東京大学教授)
とあります。いかがでしょうか。「人間らしく生きる」という概念を、医療者が利用者・患者から丁寧に聞き出すと、そのまま人生会議につながりそうではないでしょうか。
今回の研修会は、前半・後半の2部構成でした。
前半では、人生会議についての総説を行った後、みんらぼカードを用いたゲーム形式で、参加者に人生会議を体験していただきました。大盛り上がりであったことは言うまでもありません。
後半では、「リハビリ職がなぜ人生会議を行うべきか」、「どうしたら人生会議ができるようになるか」をテーマにグループディスカッションを行いました。
なぜ人生会議を行うのか───先に引用した「人間らしく生きる権利の回復」としてのリハビリテーションを実現するため、という結論に至りました。どうしたら人生会議ができるようになるのか───この議論に入る前に、みんらぼが実践してきた「聞き書き」などのライフレビューを例示しました。聞き書きを行うことで、インタビューされる側が自身の人生を振り返ることにつながり、新たな気づきや自己効力感の向上が得られることを示しました。
その結果、リハビリ職の方々も、業務の一環として利用者・患者の背景を直接聴取していたことが、実はライフレビューそのものであることに気づいたようでした。そして、このライフレビューが人生会議の第一歩となることを、各グループ内で確認することができました。
終わってみれば、1日がかりの研修会もあっという間でした。参加者は皆、十分に満足した表情を浮かべ、明日からのリハビリに自信を持って取り組めそうでした。
本研修会の開催にあたって、岩手県全域で参加者を募集し、3士合同で開催しました。元同僚と久しぶりに会えたり、異なる職種同士の新しい出会いがあったりなど、貴重な機会になったようでした。主催者の皆様、お疲れさまでした。来年も開催しましょう。
文責:杉山