杉山フェローの共著論文が刊行「社会参加の盛んな地域で定年退職者は健康を維持」

公衆衛生,協定・協働

杉山フェローが共著した論文が刊行されました。

日本語で要点しますと、

● 地域(50世帯単位の近隣)レベルの社会参加と、定年退職の間の相互作用を、複数年に渡る大規模データを用いて分析した

● その結果、社会参加の割合が高い地域に居住する定年退職者は、低い地域に居住する定年退職者と比べて、(主観的健康観・日常生活動作・精神的苦痛の面で)より健康的であったことがわかった

● 特に男性においてその傾向が強かった

● 以上の結果から、社会参加を促すような地域づくりは定年退職者の健康にとっても重要であり、そのような公共政策や取り組みが広がることを期待します

仕事を生き甲斐に長年働いてきた男性にとって、退職は、人生の喪失感にもつながりうる大きなライフイベントと言えます。やがて来る退職を見据えて、第二の人生の過ごし方を模索する方々も多いでしょう。個人レベルではそうして健康的な生活を送る方もいます。一方で、地域レベルの要素は個人の健康になんらかの影響を与えるでしょうか。

この研究は、杉山フェロー自身が岩手県紫波町の農業体験農園に実際に参加し、その体験農園が定年退職した男性にとって憩いの場になっていることに感じ入り、このような素晴らしい取り組みが科学的にも妥当であることを示したいと思ったことがきっかけになって始められました。

この体験農園は、紫波町農業政策フェローである小川氏が、退職後のシニアが集う場所になるようにという願いをこめて築いた地域活動です(記事下に解説動画あり)。いわば個人レベルの社会参加を促す取り組みでした。

このような取り組みが地域単位で住民の社会参加を促すことができれば、個人が社会参加しているかどうかに関係なく、個人の健康をよりよくすることができる―このような示唆が本研究によって得られました。

岩手県紫波町には、体験農園にとどまらず、様々な地域活動が盛んな地域です。一般社団法人みんなの健康らぼも、地域おこしラジオ体操を新型コロナ感染症流行当初から継続しており、地域おこし協力隊の星真土香氏の「暮らしの保健室」を支援してきました。社会福祉協議会の活動も支援しております(いずれも下記リンクあり)。

(感染対策に十分に配慮しながら)体験農園にとどまらず様々な地域活動が、様々な地域の、シニアにとどまらず幅広い世代の間で、より盛んになることを期待します。

なお、

(文責:杉山)