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みんらぼカード 弘前大学医学部で「地域医療入門」講義と体験会

協定・講演

2026年7月29日、弘前大学医学部2年生を対象とした「地域医療入門」の授業に、一般社団法人みんなの健康らぼ(みんらぼ)代表理事の坪谷透と、秋田大学大学院医学系研究科 先進デジタル医学・医療教育学講座 特任教授の及川沙耶佳先生は、講師として参加しました。

授業は2コマ構成。1コマ目は及川先生と坪谷による講義、2コマ目は学生のみなさんに実際に「みんらぼカード」を体験してもらうワークショップを行いました。

1コマ目:医師のキャリア、地域医療、そして「どう生きるか」を考える

前半では、及川先生と坪谷から、それぞれの経験を踏まえた講義を行いました。

及川先生からは、地方・都市部の異なる医療現場で働いてきた経験をもとに、医師のキャリアについてお話しいただきました。講義では、キャリアとは単に「何科の医師になるか」を決めることではなく、40~50年にわたる職業人生のなかで、社会や自分自身の変化とともに継続的に構築していくもの、という考え方が紹介されました。

また、「異なるタイプの病院で研修した経験がキャリア選択に役立った」「もやもやする経験も決して人生の無駄にはならない」といった、医学生のみなさんに向けたメッセージもありました。

坪谷からは、自身のこれまでのキャリアや地域医療での経験を紹介するとともに、ACP(Advance Care Planning:人生会議)について解説しました。

ACPとは、もしものときに備えて、自分が望む医療やケアについて前もって考え、周囲の人と繰り返し話し合い、共有していく取り組みです。

しかし、医療者が一方的に「最期はどうしたいですか」と問いかけるだけでは、なかなか話し合いは広がりません。そこで、みんらぼが取り組んできたのが「楽しく、さりげなくACP」というアプローチです。

2コマ目:「みんらぼカード」を実際に体験

後半は、学生のみなさんにグループに分かれてもらい、「みんらぼカード」を実際に体験してもらいました。

カードには、人生のなかで大切にしたいさまざまなことが書かれています。参加者はカードを選んだり手放したりしながら、

「なぜ自分はこのカードを残したいのか」
「なぜこのカードは手放してもいいと思ったのか」

をグループのメンバーに話します。そして最後に手元に残った5枚が、その人がその時点で「大切にしたい」と考えたものになります。

大切なのは、カードの選択そのものだけではありません。
なぜそのカードを選んだのかを言葉にし、他の人の考えを聞くプロセスにこそ、このワークの面白さがあります。

みんらぼカードは、

自分のやりたいこと・大切にしていることを具体化し、
それを家族や医療・介護従事者と共有したり、自分とは異なる他者の価値観を知ったりすること

を目的としています。

授業後には131名の学生の皆さんからアンケートに回答していただきました。まず、「本日の講義はいかがでしたか」という質問に対する回答の結果は、次のとおり、

講義後アンケート「本日の講義はいかがでしたか」

回答者数 131名

とても
面白かった
約7割
面白かった
約2割
どちらかと
言うと面白かった
約1割
0% 50% 100%

となっていて、すべての人がポジティブな回答を寄せてくれました。

また、自由記述では、「人によって大切なものがこんなに違う」という声もたくさんいただきました。その中でも特に多かったのが、

「同じカードでも人によって必要か不要か分かれていて、価値観の違いに気づきました。」

「人によってどこに価値を見出すかが本当に違うのだなと思った。だからこそどんなに近い人であっても事前に確認しておくことが重要だと思う。」

「自分が欲しいカードを他の人が捨てていて、一瞬『なぜそれ捨てるんだろう、もったいない』と思ったが、そこには大抵論理的な裏付けがあり、それを聞かされるたびに納得する、ということが高頻度だった。」

という記述からみられるように、自分と他者の価値観の違いに気づいたという感想でした。これは、みんらぼカードを通じて、講師の二人が体験してほしかったことの一つでした。

自分にとって当然のことが、相手にとって当然とは限りません。そして、それは、家族であっても同じです。だからこそ、

「きっとこう思っているだろう」と推測するのではなく、元気なうちから話しておくこと

が大切なのだと思います。

「死」をテーマにしているのに、楽しく話せる

皆さんの反応のなかでもう一つ印象的だったのは、

「死」や「人生の最終段階」という重いテーマであるにもかかわらず、カードを使うことで話しやすくなった

という点です。たとえば、

「真剣に話すよりもこうやって楽しく考えられた方が、自分自身としては考えやすく、周りも肯定してくれるので楽しかったです。」

「ワークショップを通じて自分の言葉にまとめることが難しい死生観についてより具体的に考えることができました。」

「カードでの交流を通して死に対してどのように考えているか、他の人の意見を聞く機会は初めてだったので様々な視点をもつことができました。」

といった感想が寄せられました。なかには、

「今までの地域医療の授業の中で、1番面白かったです。」

「ぜひカードを購入したいと思いました。」

という嬉しいコメントもありました。

医学生のうちからACPを「知識」だけでなく「体験」する

ACPは医学教育のなかでも扱われ、医師国家試験にも出題されるテーマです。しかし、ACPは用語や定義を覚えるだけでは、なかなか実感しにくいものでもあります。

実際に自分自身が、

「自分にとって大切なものは何だろう?」

と考え、それを他者に話し、他者の価値観にも触れてみる——その経験は、将来患者さんやご家族のACPを支援するときにも役立つのではないでしょうか。

今回、医学部2年生という比較的早い時期に、たくさんの学生のみなさんと一緒にこの体験ができたことを、講師の二人は嬉しく思っています。

弘前大学のみなさま、そして参加してくださった学生のみなさん、ありがとうございました。

弘前大学医学部の教授らとともに

「みんらぼカード」を使ってみませんか?

みんらぼカードは、医療・介護の専門職だけのための教材ではありません。
家族や友人との対話、地域での住民向けイベント、医療・介護職の研修、学校教育など、さまざまな場面で活用できます。

「人生会議を、もっと身近に。もっと楽しく。」

ぜひ、みなさんの地域や職場、学校でも体験してみてください。

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