坪谷代表理事が、山形県立保健医療大学で「高齢者の健康とアドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の講義・みんらぼカード体験会を実施しました。以下、そのレポートになります。
山形県立保健医療大学において、老年看護方法論の授業として「高齢者の健康とアドバンス・ケア・プランニング(ACP)」をテーマに講義を担当し、後半では「みんらぼカード」を用いた体験会を実施しました。
今回の授業では、「ACPとは何か」という狭いテーマだけではなく、
- 健康とは何か
- Well-being・Positive Health
- 健康の社会的決定要因(SDH)
- 「原因」だけではなく「原因の原因」を考える視点
- 人それぞれ異なる価値観を尊重すること
について、臨床医・公衆衛生研究者としての経験も交えながらお話ししました。
「病気を見る」のではなく、「人生を見る」
病院で働いていた頃、毎日のように重症患者さんや自殺企図の方を診療する中で感じたことがあります。病気には原因があります。しかし、その原因にもさらに原因があるのでは・・・
例えば、
- 経済的困難
- 教育機会
- 孤立
- 人とのつながり
- 地域環境
など、社会的な要因が健康へ大きな影響を与えています。
学生の皆さんには、「上流を見る」という公衆衛生の考え方を通して、患者さんを生活者として理解する視点を持ってもらいたいと考えました。
みんらぼカード体験会
後半は、みんらぼカードを使い、
「自分にとって本当に大切なものは何か」
についてグループで対話しました。
ACPというと、「終末期の話」「延命治療の話」というイメージを持つ方も少なくありません。
しかし、本質は、
自分らしく生きるために、自分が大切にしたい価値観を考え、周囲と共有すること
です。
カードを使うことで、普段は話さない価値観について自然に会話が生まれていました。
それどころか、今回は、私がカードの遊び方をすべて説明し終わる前に、皆さんがゲームを自ら開始し、各テーブルに笑いと会話が始まっていたことが印象的でした(笑)。
学生アンケートから
授業後のアンケートでは、多くの学生から印象的な感想をいただきました。
「価値観は本当に人それぞれだと感じた」
「仲の良い友人でも、自分とは全く違う価値観を大切にしていることに驚いた」
「人によって大切なものが違うことを実感した」
「患者さんを見るだけでは足りない」
「病気だけを見るのではなく、生活背景まで考える必要があると思った」
「原因だけでなく、その原因の原因を見る視点が印象に残った」
「家族でもやってみたい」
「みんらぼカードを家族と一緒にやってみたい」
「将来、患者さんや家族とのコミュニケーションにも役立ちそう」
「看護師だけでは解決できない問題もある」
「健康は社会全体の問題であり、行政や地域との連携も必要だと感じた」
これは、健康の社会的決定要因(SDH)の考え方が学生の皆さんに伝わった証拠だと感じました。
これらの感想を教員の皆様がわかりやすく図解してくださいました。講義内容にカードの体験が加わったことで、講師として学生の皆さんに伝えたかった想いが、二重に、より深く届いたと実感しています。
また、アンケートの「さらに学びたいこと」という項目では、SDHやACPについて自ら深く掘り下げようとする姿勢がみられました。今後の学びや実務の現場において、学生の皆さんがさらに探求を深めてくれることを期待しています。

特に印象的だったこと
多くの学生が、
「病気を見る」から「その人の人生を見る」
という視点への転換について書いていました。また、
「原因」を見るのではなく、「原因の原因」を見る
というフレーズを印象に残った言葉として挙げている学生も少なくありませんでした。
授業を通じて、知識だけではなく「ものの見方」が少し変わるきっかけになったのであれば、大変嬉しく思います。
最後に
ACPに正解はありません。
大切なのは、
「あなたは何を大切にして生きたいですか?」
という問いを、自分自身や大切な人と考えることです。
みんらぼカードは、そのための「対話のきっかけ」を作るツールです。
今回の授業が、学生の皆さんにとって、患者さんだけでなく、自分自身の人生についても考える機会になっていれば幸いです。
ご参加いただいた学生の皆さん、授業運営にご尽力いただいた先生方に心より感謝申し上げます。









