2026年4月23日、某大学の学部1年生向け授業にて、代表理事・坪谷透が参加し、「みんらぼカード」を用いた体験型授業を実施しました。本授業では、「人生会議(ACP:Advance Care Planning)」をテーマに、学生自身が“どのように生きたいか”“何を大切にしたいか”を考え、対話する機会を提供しました。
■ なぜ今、人生会議なのか
坪谷は臨床医としての経験の中で、患者本人の意思が十分に共有されないまま意思決定が行われる現場に数多く直面してきました。
- 本人の希望が分からないまま行われる治療選択
- 家族が「本人ならどう望むか」を推測せざるを得ない状況
- 医療者側も判断に苦慮する場面
こうした現実から、「もっと早い段階で、もっと自然な形で人生や最期について考え、共有する必要がある」という問題意識を持つようになりました。
しかし同時に、ACPの普及には大きな障壁が存在します。
- 話題として「重い」「縁起でもない」と感じられる
- いつ考えればいいか分からない
- 家族や友人と話すきっかけがない
こうした“行動のハードル”を乗り越えるために、行動経済学の知見を応用して開発されたのが、「みんらぼカード」です。
■ 授業の内容:ゲームから始まる対話
授業では、まず坪谷からACPの背景や現状について説明を行い、その後、学生同士でみんらぼカードを用いたワークを実施しました。
カードゲーム形式で進めることで、
- 自然に価値観を言語化できる
- 他者との違いに気づける
- 楽しく対話が生まれる
といった特徴があり、重くなりがちなテーマを「前向きに」「主体的に」考えることができます。
■ 学生の声
授業後、多くの学生から印象的な感想が寄せられました。
「カードゲームを通じて意見を共有しながら楽しく人生観について考えることができました。」
「今まで自分の死ぬ前の事を考えたことがありませんでしたが、ゲームという形で友達と話しながら楽しく考えることが出来ました。」
「普段は聞けない友達の考え方も知ることが出来て、より仲が深まったと感じました。」
「自分のことを深く考える機会になった。友達と自分の考えが違っていて新しい発見になった。」
また、価値観の多様性への気づきも多く見られました。
「グループ内でも『自分のやりたいことを重視する人』と『周りの人のためにできることを重視する人』に分かれた。」
「5人でもこれだけ違うので、家族ならもっと違うと思う。お互いを知るいい機会だと思う。」
さらに、「家族と話したい」という行動意欲につながっている点も重要です。
「家族ともぜひやってみたいと思いました。」
「普段考えないことを楽しく考えられて、家族とも共有したいと思った。」
「このようなゲームが広まり、本人の希望に沿った医療が実現してほしい。」
■ 教育としてのACPの可能性
今回の授業でも明らかになりましたが、ACPは「高齢者や医療現場だけの話ではない」という点です。むしろ、
- 若い世代のうちから価値観を言語化する
- 他者と違いを認識し、尊重する
- 将来の意思決定の土台をつくる
といった意味で、教育的価値が非常に高いテーマであることが示されました。
ACPは「死の準備」ではなく、「よりよく生きるための思考プロセス」です。
■ みんらぼカードが目指すもの
みんらぼカードは、
- 難しい話題を「自然に」
- 重いテーマを「楽しく」
- 個人の思いを「対話へ」
変換するツールとして開発されました。
今回の授業のような取り組みを通じて、
- 家族間での対話
- 地域での普及
- 医療現場での活用
へと広げていくことを目指しています。
