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2026年9月15日付の岩手日報「日報論壇」に、一般社団法人みんなの健康らぼ代表理事・坪谷透の寄稿 「無人自動運転 岩手で普及を」が掲載されました。
今回取り上げたテーマは、人口減少と高齢化が進む岩手県における「移動」です。
無人自動運転というと、未来の乗り物、あるいは都市部で使われる最新技術というイメージがあるかもしれません。しかし、むしろ公共交通の維持が難しくなっている地方こそ、その恩恵を大きく受けられる可能性があります。
「運転できないと暮らせない」という地方の現実
岩手県で生活していると、日常生活の多くが自動車を前提としていることに気づきます。
病院への通院、スーパーへの買い物、行政手続き、家族や友人との交流。都市部なら徒歩や鉄道、バスで済むことでも、岩手では車がなければ難しい地域が少なくありません。
一方、高齢になれば誰もがいつまでも安全に運転できるわけではありません。
免許返納が安全対策として重要である一方、「免許を返納した後、どうやって生活するのか」という問題を同時に解決しなければ、地方では免許返納そのものが生活上の大きなリスクになってしまいます。
寄稿では、米国でハンドルもペダルもない無人自動運転車両が走り始めていることに触れながら、岩手でもこうした技術を積極的に導入すべきではないかと提案しました。
自動運転は「交通政策」だけの問題ではない
特に重要なのは、自動運転を単なる「便利な乗り物」として考えないことです。
移動できるかどうかは、医療、買い物、教育、行政サービス、そして人との交流にアクセスできるかどうかに直結します。
高齢者が自由に移動できれば、通院や買い物だけでなく、温泉、飲食店、地域活動などにも気軽に出かけられます。外出機会が増えることは、社会参加という観点からも重要です。
外国人観光客にとっても、公共交通の少ない農村部や山間部を自由に移動できるようになれば、観光地へのアクセスは大きく改善します。
つまり自動運転は、
交通政策 × 高齢者政策 × 医療・福祉 × 観光政策 × 地域経済
を横断するインフラになり得ます。
人口減少地域だからこそ、新技術を先に導入する
人口が減少する地域では、従来型の公共交通をそのまま維持することが次第に難しくなります。
利用者が減れば、バスや鉄道の採算性は悪化します。一方で、高齢化によって「自分では運転できないが、移動を必要とする人」は増えていきます。
道路や鉄道を新たにつくるには巨額の費用が必要です。しかし岩手には、すでに道路というインフラがあります。
この既存インフラを「誰もが使える移動インフラ」に変える技術の一つが、自動運転です。
人口減少、高齢化、交通空白という地方の課題を、単に「仕方がない」と受け入れるのではなく、
新しい技術によって生活の質を維持・改善できないか。
今回の寄稿で最も伝えたかったのは、この点です。
田舎でも、運転できなくても、暮らせる社会へ
地方創生というと、人口を増やすことや若者を呼び込むことに目が向きがちです。
しかし、人口減少そのものを短期間で止めることは容易ではありません。
それならば、
「人口が減っても豊かに暮らせる地域」
「高齢になって運転できなくても暮らせる地域」
をつくることも、重要な地方政策ではないでしょうか。
無人自動運転は人口減少社会のすべての問題を解決する万能薬ではありません。しかし、移動という地方生活の根幹を変える可能性を持っています。
岩手のような人口減少・高齢化の先進地域だからこそ、新しい技術の社会実装にも積極的に挑戦していく価値があると考えています。
今回の寄稿が、岩手のこれからの「移動」と「暮らし」を考えるきっかけになれば幸いです。
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文責 坪谷 透


